低線量CT装置の導入に伴う肺がん検診のお知らせ(再掲)
当診療所では、超低被ばく128マルチスライスCT装置Revolution EVO(GE社製)を導入致しました。今回導入した装置では、低線量モードにより今までの装置での被ばく量の約1/10で検査が可能となります。
低線量CT検査は、肺がんの早期発見に有効とされています。特に喫煙歴のある方は肺がんに罹患する確率が高いため、喫煙歴のある50歳以上の方、喫煙歴が20年以上の方、1日の本数×喫煙年数が400を超える方は低線量胸部CT検査の受診をお勧めします。
◎肺がんの現状
日本人の『がん』死亡第一位は肺がんです。肺がんの死亡率を減らすためには早期発見・早期治療が重要となります。
肺がん検診には、胸部X線検査や喀痰検査が行われていますが、早期の小さながんを見つけることは困難です。そこで、骨や血管、気管支などの組織の重なりのない断面像で小さな病変を早期に検出できる低線量胸部CT検査が有効とされています。
◎胸部X線と胸部CT画像の比較
胸部X線は、心臓・大血管・骨・気管支などが重なるため、小さな病変は隠れてしまいます。CTは断面像(輪切り)になるので、微細な病変が描出可能となります。
CT検査を受けてはじめて発見できた、実際の肺がんの画像を提示します。
1.血管や気管支に重なるため診断困難なケース
胸部X線画像(左)では肺血管や気管支陰影に重なり、隠れてしまいます。CT画像(中央・右)では右肺に大きな腫瘤がくっきりと認められます。
2.骨と重なるため陰影が隠れるケース
胸部X線画像(左)では病変部が肋骨と重なり、陰影が不鮮明になります。CT画像(中央・右)では、はっきりと右肺に結節影が認められます。
3.微小な病変のため胸部X線では検出できないケース
胸部X線画像(左)では、病変は微小過ぎるため検出できません。CT画像(中央・右)では、淡く小さな病変として検出することができます。
◎気になる被ばくについて
私たちが日常生活で、知らぬ間に日本国内で自然界より受けている自然放射線量は1年間に2.1mSv(ミリシーベルト)です。自然放射線の量は地域によっても変わります。世界平均で2.4mSv、インドのケララ地方では9mSvと高く、日本の5倍近い数値となります。
また、放射線管理従事者の許容被ばく線量は、年間50mSv、5年間で100mSvと定められています。
低線量胸部CT検査では、1年間の自然放射線量の約1/3以下の線量(約0.6mSv)
で検査が可能となります。